税務最新情報

2025年02月03日号 (第529)

令和7年度税制改正 所得税②

 みなさん、こんにちは。確定申告が必要な方は、早目に準備を行いましょう。クライアントとの会話で「うちは簡単だから時間はかかりませんよね」と言われることがありますが、税理士の立場からは、簡単じゃない仕事も含め既に貯まっている仕事があるので、その仕事が簡単かどうかはあまり重要ではなかったりします。

 さて今回は、令和7年度税制改正の所得税の2回目と言うことで、基礎控除と給与所得控除の改正の周辺についてご紹介していきます。

配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件の緩和

 配偶者控除や扶養控除を受けるための合計所得金額の要件が、48万円以下から58万円以下に引き上げられます。

 103万円の収入なら給与所得控除が55万円なので、合計所得金額が48万円となり、配偶者控除や扶養控除が受けられるラインとして「103万円の壁」と呼ばれていました。令和7年度税制改正で、基礎控除と給与所得控除の引上げに合わせ、配偶者控除や扶養控除の範囲でいられる金額も、給与収入であれば123万円まで引き上げられました。

特定親族特別控除

 従来は大学生の子供がいる場合、その子供の収入が103万円を超えると、扶養控除や特定扶養控除が突然利用できなくなり、子供が103万円を超えて得た増収分より親の税金の増加額の方が大きくなるという逆転現象が起こりました。

 報道などでは「103万円の壁」の説明の際、大学生アルバイトへのインタビューシーンなどをよくみましたが、その部分への対応です。

 生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等で、控除対象扶養親族に該当しないものを有する場合に、その居住者のその年分の総所得金額等から、次のとおりの控除額が控除される仕組みとなりました。従来は控除が突然ゼロになることで逆転現象が生じましたが、この改正で控除額が緩やかに減少していくので逆転現象が生じなくなりました。

親族等の合計所得金額控除額
58万円超 85万円以下63万円
85万円超 90万円以下61万円
90万円超 95万円以下51万円
95万円超 100万円以下41万円
100万円超 105万円以下31万円
105万円超 110万円以下21万円
110万円超 115万円以下11万円
115万円超 120万円以下6万円
120万円超 123万円以下6万円

 非常によい改正だと思うのですが、所得金額を5万円単位で区切るのは、実務を考えると少し無理があると感じます。実務では、年末調整関係の書類の収集を11月頃から行います。11月の段階で、子供の12月に受取る給料を含めた年収額を5万円の誤差で予測するのは難しく、年末調整のやりなおしになるケースが増えそうです。

基礎控除関連のその他の改正

 それ以外の基礎控除と連動した動きとして、①ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の要件が48万円以下から58万円以下に引き上げられます。②勤労学生の合計所得金額要件が75万円以下から85万円以下に引き上げられます。③家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられます。

 いずれの改正も令和7年分の所得税に適用されます。

記事提供
メールでのお問い合わせの際は、必ず住所、氏名、電話番号を明記してください。

過去の記事一覧

ページの先頭へ